2019年4月3日水曜日、晴れ! 兵庫県丹波市から片道3時間半、広島県世羅郡の、世羅むらかみ農園さんと、エブリホー-ミーグループ世羅農場さんの畑を見学してきました。念願の炭素循環農法の畑の見学会です。
最初に訪れた世羅むらかみ農園さんは、45メートルのビニールハウス8棟で、ベビーリーフを生産。ふかふかの土の上にみどりのラインがつづく様は、なんといっても心地いい。有機認証とっていないとのことですが、これ全部無農薬。炭素循環農法に切り替えて6年目、優に慣行農法を超える生産性を実現できていると言います。
土を触ってみると、さくさく、と軽やか。水はけもとってもよさそうですが、元々はとても水捌が悪い粘土質の土地だったそうです。水を捌かせるための井戸を掘り、ポンプで排水するなど、基本的な改善の工夫をした上で、炭素資材(もみがら、竹チップ、廃菌床など)を投入してここまで土壌の質を改善。このような土作りをすると、害虫も寄りつかず、作物が自然と育ってくれるそうです。太陽熱養生処理をすることによって、雑草の種が発芽しないようにしているので、雑草もほとんど生えていませんでした!
自然農法の核心をしっかり見据えた上で、独自の取り組みで野菜が育つ土作りを実践してこられた、むらかみさんの柔軟さと行動力がなにより印象的でした。
次に訪れた、エブリホー-ミーグループ世羅農場さんは、スーパーを経営する企業が出資して、自然農法の農場を運営しているというところが、とてもユニーク! 農園のリーダーである山口さんのお話では、最初は慣行農法でスタートしたものの、農地の条件も悪くて栽培が順調にいかなかったのが、炭素循環農法に切り替え、土作りが進んで軌道に乗ってきたとのこと。炭素循環農法3年目で慣行農法の生産性に追いつき、経営的にも展望が開けてきた段階。今後、慣行以上の生産性の実現が期待できそうだ。 エブリファームさんのもう一つの側面は、福祉農場であること。5名のスタッフが働いているが、心の問題をかかえているようなケースも、農作業を通じてめざましい改善がみられるという。世羅農場さんには、人を癒やす農業のもう一つの役割を果たしていくことも大いに期待されます。 <#炭素循環農法って?>
いかめしい名前の農法ですが、自然農法の「軸」をはっきりさせた、明快な農法だと私は思っていて、以前から強い関心を寄せていました。 木や草は、炭素を取り込んだ化合物、炭水化物で、微生物ど土壌の働きにより、この炭素が循環して、作物や森の樹が育つ。これが、無施肥で作物が育つという自然農法の考え方の核心である、ということをはっきりさせて、これを軸に農法を組み立てているのが、炭素循環農法です。
具体的には樹木の剪定チップスや草木を、生か半発酵の状態で畑に入れ、浅く耕して土と混ぜ、発酵させます。キノコ菌や酵母菌、乳酸菌そのほか多様な微生物が活躍して炭水化物をゆっくり分解。根と微生物の連携、共生のなかで、作物はいきいきと育っていきます。このような循環がおこる土壌環境をつくることが、炭素循環農法=自然農法という考え方です。
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